聴きつつ思い浮かぶことなどを・・・
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BILL EVANS TRIO AT SHELLY'S MANNE-HOLE
No.31 ◆ 2004年10月30日
珍しく何もない休日なので、自作CDを作りながら一日音楽を聴いていた。冷暖房が何も要らない、一番気持ちいい季節だ。
このごろまたエヴァンスを聴いている。この「シェリーズ・マンホール」は、LPを傷めたので、CDを買っておいていたんだけど、久しぶりに聴き返してみたらやっぱりいい。エヴァンスを聴くと、他のピアノ・トリオが聴けなくなってしまう。
古い録音だが、CDの音が思ったよりいいので、続編の「TIME REMEMBERED」も注文しておいたら、今日届いていた。
このアルバムはエヴァンスのリヴァーサイド時代の最後の作品だが、あまり話題にならないのが不思議だ。ジャケットがちょっと地味すぎるのかな。例のスコット・ラファロとの4部作を買って、「さあ次は何にしようか」と思う人は、「アンダー・カレント」か、これを勧めたい。
おっと、駄猫が膝に乗ってきた。お前もじっとして聴け。
JOS VAN
BEEST TRIO SWINGIN' SOFTLY
No.32 ◆ 2004年11月13日
澤野のサイトで試聴して気に入ったので買って来た。ずっとこればかり聴いてる。
ほんとによくできているピアノ・トリオ・アルバムだ。前に書いた"BECAUSE OF YOU"よりいい。こりゃあこの人、軽く見れないぞという気がしてきた。
確かに甘口で、「聴き易系」ではある。ジャズを聴き始めた人などにも薦められる演奏だが、でも「軽薄」ではない。メロディの歌わせ方を心得ている。だから気持ちがいい。
そしてベースとドラムがしっかりしている。それに、音がいい。ベースがベースらしく鳴っているし、ドラムがピアノを壊さない。
「最近のいい音のピアノ・トリオないかな。あんまりうるさくないやつ。いい選曲で、よく歌うのがいいな。仕事から帰って来て、疲れを癒してくれるようなのが」と漠然と思ってきたが、このアルバムがまさにそうだ。演奏だけでなく、録音や丁寧な全体の作り、2500円という値段など、総合的な魅力も含めて、五つ星としよう。
JAMES TAYLOR
JT
No.33 ◆ 2004年11月21日
ちょっとゆとりのある日曜日、晩秋のよく晴れた午前10時半。ここはジェームス・テイラーかな。ジェームス・テイラーは昔からよく聴いている。このアルバムは特にいい。Dから後は五つ星だ。中でも「ハンディ・マン」と「バーテンダー・ブルース」がいい。
これというものはないけど、どれも悪くないというのがこの人かな。作る曲がちょっと淡白というか、渋すぎる。そこが持ち味なんだけど。ヒットする曲は他人の作品ばかりというのも、本人にしてみれば、どうなんだろう。そう言えば昔、高校時代の友人が、「英語の詞が分からないと、ジェームス・テイラーはあんまり面白くないよ」と言っていた。まあそういう面はあると思う。でも、アルバムの大半を占める本人の作品を、淡々と流しておくのもいい。
EDDIE HIGGINS TRIO
DEAR OLD STOCKHOLM
No.34 ◆ 2004年12月24日
別に今日まとめてたくさん聴いた訳ではないんだが、仕事も一段落したのでここ数日聴いてきたものをまとめて書こう。
これは最近よくネットで見かけるベテラン・ジャズ・ピアニストのスタンダード集だ。某老舗ジャズ誌の人気投票の上位の曲を弾くという趣向で、有名曲が並んでいる。
若い頃かなりジャズを聴いたつもりでいたが、この人は知らなかった。
聴いてみると、寛いだ、聴き易い演奏だ。なるほど、人気は出るだろう。しかも、これでもかという感じで、14曲も弾いている。サービスたっぷりだ。音もいい。気持ちのよいベースの音だ。至れり尽せり、これでジャズ好きになる人が出るのももっともだ。
だが、やっぱり長くジャズを聴いてきた者はこれには5つ星は付けないのではないか。甘い。ちょっと甘さがくどくなるのだ。
それでもまあ、甘いものが欲しい時はいい。疲れた中年の生活には、これもあっていいんだ。
シャルル・トレネ他
愛のシャンソン 第1集
No.35 ◆ 2004年12月24日
酷いジャケットだ。タイトルも安易だし。でも、集められた歌はどれもいい。
シャンソンのオムニバス。「詩人の魂」「枯葉」「愛の讃歌」「そして今は」など、有名曲を有名歌手達が歌っている。コラ・ヴォケールという人がいい。
ジャズをずっと聴いていたら、なぜかふいにこういう歌が聴きたくなった。
時々、自分はなぜアメリカの歌ばかり聴いているんだろうと思うことがある。好きだからなんだけど、そういうふうにさせられたのではないかとも思ったりする。
聴きなれない言語の歌は、慣れるまではちょっと違和感があるけど、そこを抜けると楽しい。まだ見ぬ宝の山だ。
「英語のフォークやロック」「ジャズと4ビートの歌」「日本語の歌」「世界の音楽」、浅く広い僕の聴き方も、大きく分けると4つに分かれる。これは最後の「世界の音楽」の部類に入る。そう言えば子どもの頃、イヴ・モンタンの4曲入りを持っていたことがあった。「バラ色の人生」や「セ・シ・ボン」が好きだった。もともとそういう好みは持っているらしい。こういう揺り戻しは時々来る。
CARLOS GARDEL
CARLOS GARDEL VOL.1 1926-1930
No.36 ◆ 2004年12月25日
カルロス・ガルデル。タンゴの歌手である。人気絶頂の時に事故死した、アルゼンチンの国民的英雄らしい。タンゴのことはよく知らないが、何年か前にテレビのドキュメンタリーで知り、出張先で買って来た。
歌入りのタンゴは日本では人気がないらしい。おまけに時代が時代だから音もかなりきびしい。でもぼくは、この人の歌が大好きなのだ。
言葉はもちろん分からないが、幸い、どういうことを歌っているかていねいな解説がついている。でもそれがなくても、説得力ある歌声で分かったような気にさせられる。そういう歌なのだ。
「発売元 中南米音楽」とあり、レーベル名は「DISCO LATINO」となっている。愛好者による愛好者向けの復刻盤だろうか。
日本では売れなくても世界的にはまだまだ聴く人はいるようで、外資系通販サイトにはいろんな盤が出ていた。もっと聴いてみたい人だ。
青春歌年鑑 1963
No.37 ◆ 2004年12月25日
突然、1960年代の歌謡曲を大量に買ってしまった。ネットでこの「青春歌年鑑」という、年ごとのヒット曲を並べたシリーズを見かけたのがきっかけだ。
子どもの頃、家にテレビがなくて、その割りに生まれた頃からラジオがあった。そこから流れてくる流行歌を大量に浴びたと思う。各年のヒット曲を見ていくと、かなり幼い頃から印象に残っている歌がある。
例えば、4歳の頃親父が死んで、その時に葬式に来た親戚と銭湯に行き、帰りに小林明のブロマイドを買ってもらった記憶がある。田舎の村にそういうものが売ってあったのか不思議だが、裏に「北帰行」の歌詞が載っていたのを覚えている。よほど嬉しかったのだろう。そういう記憶と一致するので、面白くなった。ちまちま買っていてもしょうがないので、60年代をまとめて買った。
この63年盤は最初に届いたのでじっくり聴くことになったが、さすがに聴き通すのがきついのもある。車で小さくカーラジオで聴いているとそんなに違和感がないので、わざとチープな機械で聴くのが正しいのかもしれない。そんな中で、まずぶっとんでしまったのが、弘田三枝子の「悲しきハート」。こんなに小さいころから天才的にうまかったひとなのね。
全体の満足度は4つ星程度だが、こういう発見や再発見があるのが楽しい。
THE PERCY FAITH ORCHESTRA
THEME FROM A SUMMER PLACE
No.38 ◆ 2005年1月1日
さあ、正月なんだが、正月ぐらいはのんびりしたい。流行歌もちょっとくどくなってきた。ここは、ホテルに流れているような人畜無害系の優雅音楽にしよう。ということで選んだのがこれ。パーシー・フェイス。
まあ、「ムード・ミュージック」だわな。でもそう呼んでしまうには、ちと可哀想すぎる。「夏の日の恋」なんか、昔々はちゃんとヒット・パレードの上位を張っていたもんだ。これはこれで立派な職人の技という感じです。
ずっと聴いていても、嫌味がない。「ドクトル・ジバゴ」とかね。改めていい曲だなと思ったりする。「ロミオとジュリエット」「追憶」「ムーン・リバー」…。最後まで聴かないうちに眠ってしまいそうだ。
ところでこのアルバム、通販で見つけたんだけど、信じられないぐらい安い。2枚36曲びっしり入ってなんと850円。もちろん新品。イギリス製で、けっこう丁寧な作り。まあ、働く人達のことも考えると、物は安けりゃいいってものじゃないけど、取りあえずは買ってしまうよね、こんなに安いと。
RICKY MARTIN
SOUND LOADED
No.39 ◆ 2005年1月2日
実はリッキー・マーティンが好きだったりする。
僕がリッキー・マーティンを初めて聴いたのは、"Livin' la Vida Loca"がヒットする前だった。職場でいろんな人にCDを貸していたら、養護教諭のOさんが、「私のマッチョなカレも聴いてヨ」と反撃してきたのが、リッキー・マーティンの「ヴェルヴェ」だった。「ナンヤ、この濃い兄ちゃんは。」と思いながら聴いてみたら、これが案外いい。
その後フランス・ワールドカップで"Cup of Life"、郷ひろみの「アチチ」で有名になった"Livin' la Vida Loca"ときて、だんだん惹き込まれていったのです。
この人、バラードはちと甘ったるいけど、マイナーのアップ・テンポの曲がどれもいい。「マイナーのアップ・テンポ」、これこそアメリカ音楽にあんまりない部分なのじゃないか。哀愁のメロディがブラスに煽られて疾走する、この感じがたまらん。
この前、地区の敬老会の出し物でおばちゃんやおばあちゃん達が気持ちよさそうに踊っていた曲が、リッキーの「マリア」だったのはちょっと驚いた。まだまだ日本に受け入れられる余地があるんじゃないかね、この人。僕もここ数年、運動会のフィナーレ「全校リレー」のBGMにリッキーを使っているんだが、これがぴしゃりと嵌ります。同業者の皆さんは試してください。
2000年に出たこのアルバムも、"She Bangs"をはじめ、いい曲が並んでる。
加山雄三
グレイテスト・ヒット
No.40 ◆ 2005年1月9日
やっぱりこの人は才人だなあと思った。「日本のロイ・オービソン」という気がする。こう並べてみると、よくも次々にいい曲を書いたもんだと思うわ。「B面はどうでもいい。」とレコード会社に言われても、妥協せず作り上げたのが「旅人よ」とか。ミュージシャンやね。インスト曲にも才能が溢れてる。
子どもの頃聴いたのが次々流れてくるけど、後半のちょっと地味目の曲もなかなかいい。「白い砂の少女」がいいね。アビーロードでリマスタリングしたとかで音も良く、曲も目一杯詰め込んで、しっかり作ったベスト盤という感じがする。一つどうしても残念なのが、「幻のアマリリア」が入ってないこと。これが入ってれば言うことなかったんだが…。
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