聴きつつ思い浮かぶことなどを・・・       No.1から読む

ANTIGONI GONI   
BARRIOS:GUITAR MUSIC VOL.1

No.51 ◆ 2005年6月18日

 800円台で買える廉価レーベル、ナクソスの1枚。クラシック・ギターのソロである。作曲者も奏者もよく知らずに買った。こういうことができるのも、視聴ができるからである。特に2曲目の「森に夢見る」のさわりを聴いて気に入り、すぐ買おうと決めた。
 作曲者のバリオスは、20世紀前半に活躍した南米のギター奏者兼作曲家であるという。ジョン・ウィリアムスが弾いて広まったらしい。奏者のアンティゴーニ・ゴーニさんは、なんと美貌の女性奏者であった。ごつごつした語感の名前から想像できなかった。しかしナクソスも、無骨というか、潔いというか、ジャケットにはただずらっと文が並んでいるだけで、奏者の写真すらない。ジャケットも牛のシルエットだし…。
 さて、肝心の音楽の方だが、全体に気持ちよい演奏が続き、これでこの値段なら絶対買いである。ただ、このバリオスという人の作品、どの曲もいいんだけど、「名曲」と呼ぶには何かもう一つインパクトが足りない気がする。でも演奏はいい。抜群にうまい。まろやかな美音で、淀みなく旋律が歌う。


LOUIS ARMSTRONG   
YOU RASCAL YOU - LOUIS ARMSTRONG & FRIENDS

No.52 ◆ 2005年6月18日

 通販サイトから、粘りに粘って2つの貴重なアルバムを手に入れた。1つはビング・クロスビー、そしてもう1つがこのサッチモである。  実はサッチモのこのアルバムは、既に持っているLPと大部分がだぶる。何が目当てで買ったのかというと、DECCAに残したエラとルイの8曲がCDで欲しかったのだ。このアルバムにはその内7曲入っているので、これで全部揃った。
 はじめエラのアルバムで揃えようとしたのだが、何ヶ月も待たされてキャンセルとなった。諦めずに探していると、今度は安いサッチモの盤に7曲含むいいのがあったので、こちらを頼んで気長に待っていた。それがこの盤である。
 VERVEの「エラ&ルイ」は確かに素晴らしいが、SP時代に吹き込んだこの8曲も凄い。ビッグ・バンドをバックに、掛け合いでぐいぐいと歌いまくる。それだけでなく、この中に入っていた数少ない初めて聴く曲がまたよかった。ミルス・ブラザーズとの「リンゴの木の下で」とかね。ミルスとの6曲は全部いいし、もちろんゲーリー・クロスビーやビングとの共演は言うことなし。


BING CROSBY   
50 ORIGINAL RECORDINGS

No.53 ◆ 2005年6月18日

 そしてこれがビング・クロスビー。これも一度、何ヶ月も待たされたあげくキャンセルされたものだ。でも通販サイトの説明は「入手できる可能性はわずかだが残っている。ただこれ以上お待たせするのは悪いので…」というような説明だったので、もう一度発注し直して、気長に待っていた。すると突然来たではないかいな。
 若い頃、ビングのミリオン・セラーばかり集めたラジオ番組を録音して愛聴していた。それをCDで揃えたいと思いあれこれ検索していてこれを見つけた。
 なんと2枚組50曲入って1062円ときた。レーベルは PRISM LEISURE とあり、英国盤のようである。外箱まで付いて実に丁寧な作りである。ライナーもあり、写真もしゃれていて、廉価盤でも作った人の音楽への愛着がしっかり感じられる。
 中身の方は、「これでもか」の名曲のオン・パレード。1枚目が「GOING MY WAY」、2枚目が「MILLION SELLERS」となっている。一部変な選曲もあるが、全盛時のヒット・ナンバーは大方揃っていて、音も問題ない。注文し直して大正解だった。


NORBERT KRAFT
SOR・AGUADO・TARREGA 19TH CENTURY GUITAR FAVORITES

No.54 ◆ 2005年7月4日

 またナクソスのギター・コレクション。ナクソスもじりじり値上がりしている。それでもまだ800円台だから魅力だ。
 何十年もギター弾いているのに、クラシック・ギターがまともに弾けない。細かい指定通りに再現するのが、大雑把な気性に合わないのだろう。でも、聴くのは好きだ。
 1曲目からイエペスで聴き慣れたソルのメヌエット作品11の6番を、びっくりするような解釈で弾く。テンポがまるで自由というか、好き放題に弾きまくる。まあ、一人やからね。でも不思議と違和感はあまりない。こういう曲だったのかもとさえ思う。
 2曲目はぼくでもなんとか弾ける「月光」だ。それから後は練習曲が並ぶけど、メロディの歌わせ方がうまいので退屈せず聴ける。
 後半はタレガだ。「ラグリマ」も「アデリタ」も好き放題。でも悪くない。意外に「アルハンブラ」が淡々としていた。
 今回も十分楽しませてくれた。このシリーズには、まだまだ面白いのがありそうだ。 


ROD STEWART   IF WE FALL IN LOVE TONIGHT

No.55 ◆ 2005年7月17日

 ようやく通知票を書き上げた。仕事はまだまだ残っているけれど、明日に回すことにして、今日は休息。

 もし、自分が買ったCDの内容的な満足度を値段で割るならば、その値が一番高いのはこのCDだろう。何しろ某中古屋で四百何円だった。
 ロッド・スチュワートなんて軽薄で騒々しいロック野郎だろうと何となく思っていた。それでも浅川マキが自分のLPのライナーノートで、「『それはスポットライトではない』をロッドに先にカヴァーされた」と書いていたのを、昔見たことがあるので、気にはなっていた。普段買わないミュージシャンでも、安いと試しに買ってみたりする。

 聴いて驚いた。おっと。これは大人の歌だ。バラードのベスト盤なんだけど、次々にいい歌が出てくる。どの曲も全部素晴らしい。大変失礼しました。参りました。
 品のいいアレンジ、この人だけの渋い声、バラード集なのに飽きさせない構成、感じのよいジャケット。実に丁寧な作りだ。音もいい。最後の曲が終わるとまた最初から聴きたくなる。夜一人で飲んでいる時なんか最高だ。そして、「ああ、自分も何かいい歌が作りたい」という気持ちになる。

 昨日帰りに寄った中古屋で見かけた、ロッドがスタンダードを歌っているCD。あれも買いだ。どうして買わなかったんだろう。今これを聴き直しながら、売れてないといいなと思った。
 


HAWAIIAN SLACK KEY GUITAR MASTERS   

No.56 ◆ 2005年7月31日

 「真夏の夜のジャズ」とか言うが、夏はあんまりジャズなんかは聴きたくない。ロックもだ。暑い時はテンションの緩い音楽に限る。だいたい、暑いところの音楽を聴くと、あんまり騒々しいのはないね。

 ということで、暑い夏の休日のBGMはこれ。ハワイのギター音楽。メロディはドレミファソラシド、コードもドミソの世界。冷房ガンガンのデパートで聴く「ハワイアン」なんかとは違う。扇風機の風に吹かれて昼寝でもする時にゆるやかに流れているといいような、素朴な音楽だ。

 この、Dancing Catというレーベルなんだけど、ピアニストのジョージ・ウィンストンが自分で作ったレーベルなんだね。ハワイアン・スラックキー・ギターの大ファンで、レコード作りも始めてしまったらしい。なるほど、楽器は違えどあの人のピアノと何か共通するものがある。

 オムニバスで、いろんなギター弾きが出てくる。ハワイアンというとあのファルセットのヴォーカルがちょっと馴染みにくいが、これはインストルメンタル集なので取っつきやすい。そして、雰囲気を壊すようなのは1曲もない。ぼくはこれを聴きながら、忙しかった毎日を思い返していた。脳をマッサージしてくれるような音楽だ。 


森山直太朗   新たなる香辛料を求めて

No.57 ◆ 2005年8月5日

 帰りに寄った中古屋で、なぜか急にこの人の声が聴きたくなった。その時タイミングよくこの人の歌が流れてきた。それでぼくは目の前の棚にあったこのアルバムを買った。フルアルバムで1280円。定価は3059円とある。
 帰りに車の中で聴いたが、あまりたいした歌には思えなかった。ぼくのカー・ステレオはこの頃調子が悪くて、サ行がひどく耳についたり音がひずんだりする。そのせいかもと思って、家に帰って聴き直してみたら、車の中よりは良かった。四つ星クラスかなと思った。でも、終わったらもう一回聴きたくなった。
 2回目をかけたら、随分と印象が違った。かなりいい。飾りも少なく、まじめに、正面から挑んでくる感じがいい。歌詞がちょっと青いというか、大げさで気負いが感じられるが、青年の歌なんだからそれもいいだろう。むしろ、頑固な感じが面白い。「俺はこれだ!」という強さが見える。発音がちょっと気になるけれども、嫌悪感を感じるほどではない。
 森山良子の息子だということだが、完全に親を越えているとぼくは思う。ギター一本、ピアノ一本の素朴なスタイルの良さや、完成度よりも勢いや味わいの方が大切な場合もあることを、改めて教えてくれる。
 3059円なら買わなかったかもしれないし、何かまだ足りないものも感じるけれど、期待の青年だ。 


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